前回の記事では、インボイス未登録の方向けに法人化と消費税免税の戦略をお伝えしました。今回は「インボイスをすでに登録している方」が2割特例終了後に取れる対策を整理します。
- インボイス登録済みのフリーランス・個人事業主の方
- 2割特例が終わった後(2027年〜)の消費税が心配な方
- 3割特例・簡易課税・法人化の違いを知りたい方
まず確認|インボイス登録済みの方の現状
インボイス(適格請求書)を発行するために登録した方は、課税事業者として消費税を納める義務があります。
ただし現在(〜2026年12月)は「2割特例」という経過措置があり、売上消費税の2割だけ納付すれば済むため、負担が抑えられています。
2027年1月からは通常の消費税計算に戻るため、これまでより納税額が大幅に増える可能性があります。今のうちに対策を考えておくことが重要です。
インボイス登録済みの方が取れる3つの選択肢
2割特例の後継として2027年・2028年分の2年間限定で新設された経過措置です。売上消費税の30%だけ納付すればOKで、実際の経費に関係なく適用できます。
- 対象期間:2027年分・2028年分の2年間のみ
- 対象者:個人事業主のみ(法人は対象外)
- 売上要件:基準期間(2年前)の課税売上が1,000万円以下
- 手続き:確定申告書への記載のみ・事前届出不要
2028年までは個人事業主のまま事業を続け、その後の状況を見ながら法人化を検討したい方。まず2年間は3割特例で負担を抑えられます。
実際の仕入・経費に関係なく、売上高にみなし仕入率をかけて消費税を計算する制度です。業種によって仕入率が異なり、経費が少ない業種ほど有利になります。
| 業種 | みなし仕入率 |
|---|---|
| 卸売業 | 90% |
| 小売業・農林漁業 | 80% |
| 製造業・建設業 | 70% |
| 飲食業・宿泊業 | 60% |
| サービス業(士業・デザイン等) | 50% |
| 不動産業 | 40% |
簡易課税を選ぶには前年末までに届出が必要です(2027年分から適用したい場合は2026年12月31日までに提出)。また、2年間は変更できません。
法人を新設することで免税期間を得られると思われがちですが、インボイス登録が必要な取引をしている場合は注意が必要です。
新設法人であっても、取引先からインボイスを求められる場合はインボイス登録が必要です。登録した時点で課税事業者になるため、消費税の免税メリットは得られません。
消費税の免税は難しくても、法人化によって所得税・社会保険料の節税や役員報酬による所得分散が可能です。売上規模が大きくなってきたら、消費税以外の観点で法人化を検討する価値があります。
3つの選択肢を比較すると
| 3割特例 | 簡易課税 | 法人化 | |
|---|---|---|---|
| 対象者 | 個人のみ | 個人・法人 | 個人・法人 |
| 期間 | 2年間限定 | 継続可能 | 継続可能 |
| 消費税の軽減 | 売上の30%納付 | 業種による | 免税は難しい |
| 手続きの手間 | 少ない | 届出必要 | 設立手続き必要 |
| その他の節税 | なし | なし | 所得税・社保等 |
どの選択肢が合っているかは状況次第
どれが最適かは、業種・売上規模・取引先の状況・将来の事業計画によって変わります。
- 2028年までの2年間だけ対策したい → まず3割特例で様子を見る
- サービス業以外で経費が少ない → 簡易課税が有利な場合も
- 売上が大きく所得税負担が重い → 消費税より所得税対策として法人化を検討
- 取引先がBtoC中心でインボイス不要 → 登録取り消しも選択肢(要相談)
なお、インボイス未登録の方(BtoC中心の事業など)については、法人化で消費税の免税を継続するという別の戦略が有効です。詳しくは前の記事をご覧ください。