医療法人を設立している先生方に知っていただきたいのが「MS法人(メディカルサービス法人)」の活用です。正しく設計すれば強力な節税ツールになりますが、誤った活用は税務調査でリスクを招きます。
MS法人とは何か?
MS法人(メディカルサービス法人)とは、医療法人の経営をサポートする目的で設立する株式会社や合同会社のことです。医療行為そのものは医療法人しか行えませんが、それ以外の経営支援業務はMS法人が担うことができます。医療法人とMS法人の2社構造を作ることで、利益を分散させ、グループ全体の税負担を軽減するのが基本的な考え方です。
MS法人に移せる業務・費用の例
- 建物・駐車場の賃貸管理業務
- 医療機器のリースや物品調達
- スタッフの採用・研修・広告宣伝
- 院長の配偶者や家族への業務委託(実態のある業務に限る)
- 医療事務・レセプト業務の委託
どうして節税になるのか?
利益の分散による税負担の軽減
医療法人に集中している利益をMS法人に移転させることで、それぞれの法人の課税所得を分散できます。中小法人には軽減税率(課税所得800万円以下は約15%)が適用されるため、分散することでこの優遇を二重に活用できます。
家族への所得分散
MS法人の役員・従業員として家族が実際に働いている場合、適正な給与を支払うことができます。これにより世帯全体での税・社会保険料の最適化が可能になります。
MS法人活用の注意点(ここが最重要)
税務調査で指摘されやすいポイント
- 不当に高い手数料・報酬の設定(適正価格の証明が必要)
- 実態のない業務委託契約
- 契約書・議事録などの書類が整備されていない
- 医療法人との取引が独立当事者間取引の原則に反している
MS法人との取引は「第三者間でも同様の条件で取引されるか」という独立当事者間取引の原則が求められます。根拠のない高額な委託料の設定は、税務調査で否認されるリスクがあります。
まとめ
MS法人は正しく設計すれば医療法人の節税を大きく強化できるツールです。しかし誤った活用は税務調査のリスクを招きます。設計・運用は必ず専門家と相談しながら進めましょう。